Pavo Pico IIについて学び始めてから、ジャイロや加速度計について調べる機会が増えた。
当初はそれぞれ独立したセンサーだと思っていたが、実際にはそれらをまとめて扱う重要な仕組みが存在する。
それがIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)である。
現在のドローンでは、機体の姿勢を知るためにIMUが中心的な役割を担っている。
まずジャイロセンサーは機体の回転速度を測定する。
右へどれくらいの速さで回転しているか。
前後方向へどれくらいの速さで傾いているか。
そうした角速度を検出している。
しかしジャイロには弱点がある。
例えば機体が20度傾いたまま静止している場合、回転が止まっているためジャイロだけではその傾きを判断できない。
そこで加速度計が活躍する。
加速度計は加速度を測定するセンサーであるが、同時に地球の重力方向も検出している。
そのため、
「重力はどちらから来ているか」
を知ることで、
「機体がどの方向へ傾いているか」
を判断できる。
ドローンでは、このジャイロと加速度計の情報を組み合わせて現在の姿勢を推定している。
その統合された仕組みがIMUなのである。
言い換えれば、
ジャイロは短時間の動きに強い。
加速度計は長時間の姿勢判断に強い。
IMUは両者の長所を利用している。
私がPavo Pico IIで経験した水平キャリブレーションの問題も、実はIMUと深く関係していた。
FCは加速度計が感じている重力方向を基準として水平を記憶する。
その基準が狂えば、機体は誤った水平を信じて飛行しようとする。
ホバリング不能から回復した経験を振り返ると、あれは単なる設定変更ではなく、IMUの基準を正しく再設定する作業だったのだと理解できる。
さらに調べて驚いたのは、その内部構造である。
現在のドローンに搭載されているIMUは、MEMS技術によって作られている。
MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの略で、超小型の機械構造と電子回路を組み合わせた技術である。
ジャイロ部分には微細な振動体が存在する。
機体が回転すると振動状態が変化し、その変化を電気信号として読み取る。
一方、加速度計部分には微細な重りが存在する。
その重りは極めて小さなバネ構造によって支えられており、加速度によってわずかに移動する。
その変位を電子回路が検出している。
驚くことに、これらの構造は人の手で組み立てられているわけではない。
シリコンウェハーを半導体製造技術によって加工し、超小型の梁やバネ、重り、振動体を形成している。
つまりIMUは単なる電子部品ではなく、超小型の機械装置でもあるのである。
私自身、最初はドローンをモーターとプロペラで飛ぶ機械だと思っていた。
しかし学習を進めるうちに、その内部ではジャイロ、加速度計、IMU、Betaflight、FCが連携し、毎秒何千回もの計測と計算が行われていることが分かってきた。
さらに面白いことに、こうしたMEMS技術はドローンだけではない。
スマートフォンにも同じようなジャイロや加速度計が搭載されている。
普段何気なく使っているスマホの中にも、Pavo Pico IIと同じ系統の技術が詰め込まれているのである。
小さなドローンを学び始めたつもりだったが、その先には半導体技術、制御工学、センサー工学の世界が広がっていた。
IMUは、その入口の一つなのかもしれない。


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